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「ともかく、此処でこうしていても埒があかない。
口開けて待っていても、この平和な街では事件なんて起きないんだ。
このままでは、探偵なんていらないじゃないか」
いや、あなた今、ご自分で綺麗に結論出してしまいましたよね? と夏巳は思う。
そう、この街に探偵なんていらないのだ。
事件が起きてないことはないが。
それは探偵が話に噛んで、どうにかできるような類いのものではない。
「あ、そういえば、土曜は駄目です。
うち、体育祭なんですよねー」
とちょっとホッとしながら夏巳は言ったが、桂は、
「体育祭が終わってからでいいぞ」
と言い出す。
どうしても、早く行きたいようだ……。
「でも、体育祭終わってから、津和野に行ったんじゃ、幾ら近いと行っても、五時すぎてますしね~」
「やはり、結構近いのか?」
と問うてくる桂に、
「そりゃ、萩津和野殺人事件っていうくらいですからね」
と夏巳は答える。
だんだん、この二時間サスペンスを参考に探偵をやっている探偵に毒されてきているようだと自分で思いながら。
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