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地方を舞台にしたサスペンスの場合。
それは無理だろうと思う移動ペースのものも結構あるが、萩津和野に関しては、本当に近い。
連続して殺人事件も起こせそうだ。
だが……。
「でも、五時過ぎに津和野に行っても、みんな寝てんのかなって思うくらい人気ないですよ」
「お前……、津和野の人に殴られるぞ」
「いや、鄙びていい雰囲気になるって意味ですよ。
でも、観光客とか居なくなるので、事件はちょっと起きそうにないですかね」
神社やその他の施設なども受付が五時までのところが多いせいか、閑散としているし。
山中のせいか、日が暮れるのも早い気がする。
「私、うっかり五時に過ぎに行ってしまいまして。
人気のない神社を散策し、何処も開いてなかったので、掘割の太った鯉が泳ぐのを見て帰りました。
でも、本当にいいところですよ」
「……今のお前の発言では、全然いいところに聞こえないんだが」
と桂は言うが。
「いやいや。
うら寂しい感じがして、情緒があるんですよ。
津和野は銘菓もいっぱいありますしね。
お店の中でも食べられたりして、すごくいい感じなんですよ」
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