風俗に堕ちた姫

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それから3日程が過ぎた或る日の事……。 ブライダルの日和を心待ちにしながら、指折り数えてた私は、先祖供養と言う訳じゃ無いんだけれど、東京都府中市にある多磨霊園を訪れていたんだよね…。 私の両親、私が幼い頃に離婚したって言ってたじゃない?それから、私は母親に引き取られたんだけれど、でも………その母親も、癌が原因で早くに他界してしまって。それから、私、どうやって生きてたのか、余り記憶が残って無いんだけれど、祐希と出逢えたのなら、それでも良かったのかな。………なんて思える様になったものだから、新しい人生の門出に、御先祖様に報告に来たの。 式場では、私の婚礼を祝ってくれる両親なんていないものだから………。 「………私、必ず、祐希さんと幸せになります。」 それから、私、京王線で新宿まで戻ってから学生時代からのお友達と待ち合わせる為に、時間まで暫くの間、独りで駅周辺をブラブラしてたんだけれど、………私、そこで見ちゃいけないモノを見てしまった気がして。 それは、と或る宝石店から、見知らぬ女と一緒に笑顔で出て来る祐希の姿。 ひょっとして、私と言う伴侶と出会ったと言うのに、祐希のヤツ、他の女にも鼻の下を伸ばしてるとでも言うの? おまけに、相手に向けてる笑顔の方が、私にくれる笑顔よりも輝いて見えてたし………。 何か、最悪って感じ…!!! 思わず、嫌悪感ばかりが奔走してしまう私。 でも………。 ………どうして。………どうして。………どうして。 時間は、午後3時を過ぎた頃だった。 その後、お友達にも会えて、お茶して、カラオケに行って………。でも、心此処に在らず。って言う感じだったかしら。 それよりも、明日からの仕事をどうしよう? 職場に行けば、祐希がいるし。………祐希と顔を合わせてしまう。何時もは、彼と会える事が1日の中の喜びであった筈なのに、あんな風景を見せられてしまった後では、何だか顔を合わせ辛い。 どうせ、問い詰めたとしても、何だかはぶらかされてしまいそうで………。だって、彼の前職って、ホストって聞いてるから、言い訳だけはチャンピオン級に上手い筈だし。 ………そうだ!………職場を変えよう。 それに、せっかくのウェディングドレスの費用の支払いの事を考えると、チマチマ昼間の仕事をこなしてるだけの人生なんて、その時の私には、何だか馬鹿馬鹿しく思えてしまって、今迄の職場での仕事をやる気も冷めてしまっていたし………。 そこで、眼を付けたのが、新宿の町の外れにあると言う、高級ソープランド! 今の私なら、何でも来いのハチャメチャ気分なんだから、少し恥ずかしいけど大丈夫。 それに………。 何だか、得体の知れないアカの他人に、頭の中が真っ白くなるくらいにメチャクチャにされてしまいたい気分だったから………。 今迄の職場には、体調不良で長期入院と言う事にしておいて、休暇願いを出して、早速、お店の面接を受けてみると、バッチシO.K. まぁー、当然よね? (自信過剰&自画自賛) その翌日が、何と初出勤。少し胸がドキドキ。 早速、お店の店長に付けられた源氏名が、夏姫。 どうしてかって?理由を聞いてみると、………何だか高飛車そうに見えるからですって。何だか、失礼な話よね?………やっぱり、出勤した時の衣装が、少し着飾り過ぎてたせいかしら。 斯くして、純情可憐な淑女としてのワタクシが、虚しくも、淫乱恥女として濡れ場を味わう日々が始まろうとしているのであった。
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