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あっ、そうそう、思い出したかの様にアナタに尋ねてみるんだけど、そう言う風俗店と呼ばれているお店で働いている従業員の中で、一流の御客様って噂される人って、アナタだったら、どんな人の事だと思うかしら?
ワタシが、その翌日に体感したお話をするわね。
その日、ワタシ、業務中に身体の具合が悪くなってしまって、お店を早引きさせて貰う筈だったんだけど、唐突に、どしゃぶりの雨に見舞われてしまって…。
その時、お店の店長から優しい言葉を頂けて…。
「…暫く、雨が上がるまで、お店の中で暖まって行けば良いよ。こんな日に無理しちゃうと、身体にも良く無いからさ。」
…何だか、恐縮。
でも、そのうち、お店がお客で満杯になってしまって、お店の売上的には万々歳なのかも知れないけれど、お店で働いてる女の子の数が足りなくなってしまってて。
ワタシ、思わず店長から頼まれてしまったのよ。
「…時給、少し弾むから、少しの間だけでも良いから、助けてくれないかな?」
余りに断り切れなくて、二つ返事で頷いてしまってるワタシ。
その頃のお店でのワタシの通り名は、姫。
…ひょっとして、世間知らずって意味かしら?
取り敢えず、何時もの様に御客様の部屋へお伺いしてから、シャワーの前に衣服を脱ごうとしたのだけれど、その矢先に御客様の手がワタシの肩に伸びて来て、ワタシ、その御客様の胸の辺りに抱き寄せられたのよね。
「…服なんて脱がなくて良いからさ。それに、何もしなくても良いから、雨が止むまで、僕の話し相手になってくれないか?」
…えっ!…何なの、この人!?
ワタシ、思わず相手の顔をまじまじと見つめてしまったんだけど…。
でも、相手の眼がワタシの眼と合った瞬間、更に、お互いがビックリしちゃったの。
だって、その相手って、よくよく見たら、祐希なんだもの。…河野祐希。
けどね、今から思うと、祐希の方が、ワタシよりもビックリしてたかしらね。だって、ワタシ、スマホに載せてる祐希の番号、着信拒否にしてたと思うから…。
祐希は、動揺してる気持ちを抑え切れずに、ワタシに話し掛けて来たの。
「…何で、お前がこんな処にいるんだよ?」
「………………。」
「それに第一、どうして着拒してんだよ?」
「………………。」
「俺が、お前に何か悪い事でもした?」
ワタシ、その時、祐希の態度に激昂する余り、怒鳴り付けてた気がする。
「…自分の胸に手を置いて聞いて見なさいよ!」
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