第二章 ~再会~

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第二章 ~再会~

 あくる日も僕は、夏の朝日に起こされ、青葉高校へ歩みを進めていた。だが、今日は少し早く家を出てしまったので、僕は少し通学路をそれたところにある、とある場所へ向かっていた。  とある場所と言うのは、僕にとってこの街で自宅と同じ……いや、それ以上に落ち着くことができる場所と言っても過言ではない。  その場所は、一言で言い表すと「街の中に取り残された森」と言う趣である。街の中に小高い山のような場所があり、外から見れば木々が生い茂る森に見えるけれど、実際は静かな草原が広がっていて、その周囲を比較的高い木々がきれいに囲んでいるのだ。  この場所は、昼夜問わず穏やかな雰囲気に包まれ、町の中にいながら自然を味わうことができる。  僕がこの場所を好きになった理由は、もちろん静かで穏やかで、自然を感じられるからと言うこともあるけれど、今も昔も変わらないことがある。この場所を訪れる人も、穏やかなのだ。ここでは、暑苦しい人はめったに見かけない。  僕が天の原あまのはら公園に入ると、入り口付近のベンチに座っていたおばあさんが、僕の存在を認め、笑顔を向けてくれた。 「あら、学生さん? おはよう」  そう言ったおばあさんは、穏やかな春の陽のような笑顔で、彼女の口から優しさとともに流れ出た声は、とても暖かい。 「おはようございます、良いお天気ですね」 「そうだねえ、でも、今年も暑いからね、熱中症なんかには、気を付けるんだよ」 「ありがとうあばあちゃん。おばあちゃんも気を付けて」  僕は、スマホの時計を見て、本来の登校時間が迫っていることを確認すると、天の原公園をあとにした。
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