第四章~葉月の夜空に輝く銀河の下で……~

1/23
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/73

第四章~葉月の夜空に輝く銀河の下で……~

 翌朝、僕は小説を書きたい気持ちを何とか抑えて、いつも通り通学路を歩いていた。夏休み初日だというのに……。 「はあ、大鳳寺君より、補習で朝から小説を書けないほうが辛いよ……」  僕のつぶやきは、コンクリートの路に揺らめく陽炎かげろうに溶け出し、蝉たちの声にかき消された。  そう、僕は数学の成績が悪かったので、八月に入るまでの数日の間、学校に行かなければならないのだ。それを伝えられたのは昨日だった。 「おう蒼龍! お前、数学が苦手らしいな。だが安心しろ、先生は数学担当だからな! しっかり苦手を克服させてやる。ああ、伝えるのを今日まですっかり忘れていたのは謝る! じゃあまた明日な!」  と言って僕の肩を叩いて行った先生の笑顔は、今も脳裏で異様に輝いている。僕は夏休みを利用して、小説をたくさん書こうと計画していたのに……。まあ、大鳳寺君のいない平和な補習ならいいか、と思い、僕は灼熱の大地を一歩一歩踏みしめていった。  十分ほどして学校に着いた僕は、暑さにせかされ教室に駆け込んだ。そして、冷房以上に僕を冷やしてくれたのが、補習に大鳳寺君もしっかり呼ばれていたと言う事実だった。教室を見たところ、僕のほかにも数名の補習生がいるようだが、大鳳寺君の取り巻きも数人いる。僕は、心の中で叫びながら、いそいそと席に座り、色々な要因から脱力感にとらわれ、机に突っ伏した。  大鳳寺君はいて、翔鶴君や香雅梨ちゃんはいない。どうしてこうなったのだろうか……。僕の夏はまだまだ波乱に満ちていそうだった。
/73

最初のコメントを投稿しよう!