煙草

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煙草

時刻は昼の13時30分。 昼飯もそこそこに私は会社のビルの屋上にある喫煙スペースで何時ものようにぼんやりと空を眺めて煙草をふかしていた。 私はこの会社に入って2年になる。 仕事もそれなりに板についてきて、職場と自宅を往来する毎日を無難に過ごしていた。 可もなく不可もなく、人並みに働いて、給料をもらい、一般的な社会人として生きている。 不自由はない。 ただ一つ、憂鬱なことがあるとすれば、自分の性根の腐りようである。 (昼休み明け会議か...面倒くさいなぁ。) 腹が立つ程に真っ青な空に向かって、私は煙を吐いた。 他人とのコミュニケーション、それが私にとって心底煩わしいものなのだ。 面白くもない冗談に笑ったり、よく分からない話題に相槌を打ったり、場を持たせる為に話題を提供したり、とにかく自分以外の誰かに歩調を合わせるのが嫌いなのだ。 1人黙々とデスクワークをこなす分には良い。 それなりに面白さを見出している。 ただ、仕事を進めていく上でどうしても発生するコミュニケーションの数々、それらが私にフラストレーションを蓄積させるのだ。 今ではこんな有様の私だが、一昔前はもう少しまともな人間だったと思う。 他人と談笑に花を咲かせ、他人に笑顔で挨拶できるような人間だった気がするが、それすらも朧気である。 ただ、私がこんな無様な奴になってしまった理由は明確である。 私は大学で日本語を専攻した、それが全ての始まりだった。
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