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回想
第4Q試合時間…
残りあと10秒……
スコア 82-81
俺はあの日のことを…
あいつのことを…
この先、一生忘れないだろう。
ーーー「はぁ…はぁ……はぁ…」
「行け!秀[シュウ]!」
「チャンスだぞ!」
コートに響く歓声
ボールの弾む音
チームメイトの叫び
俺が決めれば、逆転は十分に出来る。
「…はぁ……くっ!」
全神経を集中させ、今にもシュートを放とうとする。
(っしゃ!これは…いける…!)
だが、それは意図も簡単に…
「甘いな」
「…なっ!?」
相手チームのエースによって阻止された。
不意打ちの衝撃に圧倒され、身動きが取れなくなる。
ボールは吸い付くように彼の手の中へと渡った。
「カウンタァァー!行くぞぉ!」
「うっしきたぁ!!」
「ナイス、三性[ミショウ]!」
エースの掛け声と共に一気に相手チームの士気が上がる。
そして、いち早くカウンターの体制がとられた。
「やべっ、ディフェンス!」
慌てるも虚しく対応が遅れてしまい、ボールを持ったエースはフリーのままずんずんゴールへと足を運ぶ。
そこへ、やっとヘルプに入った2人が止めに入る。
だが、意図も簡単に避けられた。
チームメイトの他の2人も、俺も、全速力で三性を追った。
しかし、、、一向に差が縮まることはなかった。
(どんだけ体力あんだよ…てか、足、速過ぎな……。)
そのまま追いつくことも出来ず、ただただ後ろからそいつがシュートを決める姿を見守るしかなかった。
シュートを決めた直後、そいつは密かに口角を吊り上げ、俺の方を見た。
その自信気にも見下しているようにもみえる表情が今でも頭から離れない。
ーピーッ!
<試合終了>
スコア 85-81
結果だけみれば、いい勝負だったのかと思う。
けど、実際は全くいい勝負なんてもんじゃなかった。
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