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都立四ツ谷南高校
額に汗を乗せて大きな青いリュックを背負い坂を登る1人の少年がいた。笹野仁である。6月に入り蒸し暑さは増す。彼が向かう先にあるのは都立四ツ谷南高校。旧制中学校時代からその名を残し、その歴史は100年を軽く超える。某赤い門の大学へここ数年は50名近くの卒業生を輩出する進学校だ。都立でトップ高と言っても過言でない。しかし一時期は「暗黒時代」と呼ばれるほど進学実績は低迷。自由な校風で有名な進学校へ人気は必然的にシフトして行った。そんな中で四ツ谷南高校は改革を始める。ただ知識を詰め込む従来の授業とは異なりグループディスカッションや発表をより多く行う、いわゆるアクティブラーニング型の授業を都立高でいち早く取り入れた。また変化の激しい今の時代に必要なのは「真のグローバルリーダーとなれる人材」として様々な分野の公演や講義を行うことで、知識を入れることよりも自ら考える力を重視したプログラムが組まれた。英語の授業は特に力を入れ、英語でディベートやプレゼンは当然のように毎週行われる。数年で進学実績は復活。復活どころか伸ばし続け、「都立高校復活」の立役者となった。近年は私学の進学校を蹴って都立のこの高校に来る人も多い。か
ようやく大使館の建物が見え始めた。毎日毎日この坂を登っているのだがなかなか慣れない。「長くて急」だからだ。遅刻坂と言われるのもよく分かる。(登校時間ギリジリにこの坂を走ってのぼるにはしんどすぎて、皆遅刻するというのが所以らしい)頂上だ。そこには荘厳な趣で赤いレンガ造りの校舎がそびえ立つ。四ツ谷南高校である。
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