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「なんで会ってくれたの?」
私は秋人くんに尋ねた。
「アサが呼んだんじゃん」
秋人くんは、昔と変わらず、ぶっきらぼうに答えた。
「深い意味はないよ。お互い大人だし、お酒でも飲んで、話して、吐き出したいときとか、あるでしょ」
秋人くんの答えは、私がほしい言葉が混じっていなかった。
「はっきり言ってよ」
私が言うと、秋人くんはするどさに躊躇いをみせなかった。
「暇つぶし。それだけ」
私は、暗闇の洞穴に、真空状態で突き落とされた気分だった。
この夜には、私が欲しい言葉なんて、降ってこない。
「私、秋人くんのこと、好きだったよ」
私はかなしくって、繋いだ手にグッと力を入れる。
秋人くんはあきれたように言った。
「でも、俺と一緒に生きていくってつもり、ないでしょ?」
その言葉の音階に、私はふるい記憶がくすぐられた。
二年前に別れた時と同じセリフだったのだ。
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