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でも、マコちゃんがとんでもないことを言ってきた。
「ねぇ、イヤじゃなかったらでいいんだけど…」
掴まれた手が、少し震えていた。
「何か…してみる?」
吐息混じりに低い声で聞かれて、それだけで、ゾクゾクっと背中に快感に似たものが走るのを感じた。男の人の中でも低いくらいの声なのに、そんな風になってしまうのが不思議だった。
「何か、って…」
「ごめんね、その…気を遣ってあげられなくて。」
聞き返すと、言葉を選ぶようにして謝られた。それからマコちゃんは掴んでいた片手を繋ぐようにしてきた。ぎゅっと握ると、震えは治まった。代わりに息が上がってきて、視線が小刻みに揺れ始める。
「一週間も同じ空間に居れば、男同士なんだから分かりそうなものなのに…」
そう言って、マコちゃんは手を繋いだまま、向き合う形で浴槽の中に入ってきた。お湯のはられていない底は濡れていて、滑らないように気を付けながら。
思わず触ってしまうような体が目と鼻の先に突き付けられる。鎖骨の所に小さなほくろがあって、膨らみかけのおっぱいみたいな胸筋の下には、薄い影が落ちるほど割れた腹筋。体毛は元々薄いのか処理をしているのか分からないが、ほとんど生えていなかった。
さっきはやめなさいって言われるくらい何も気にせず触れていたのに、息が詰まりそうなくらいに近付かれると、見ているのも精一杯になってしまう。
「そりゃあ、若いんだもの。溜まっちゃうわよね。」
頭に血が上ってきて、キュウッと視界が狭くなる。その中で、マコちゃんが利き手を伸ばしてくるのが見えた。
「えっ!ウソ!待って…!」
思わず出した声がすっかり上擦っていて、ますます恥ずかしくなった頃には、優しく握り込まれてしまっていた。それから、ゆっくりとその手を上下させ始めて、マコちゃんの言う"何か"が始まってしまったのだと分かった。
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