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「うん…」
そう返事をした途端、何か取り返し付かない事をしてしまったのかも知れないという意識が芽生えた。マコちゃんと、まさかこんな事をしてしまうなんて。仲間うちでAVの鑑賞会をしていたのとは、どれだけ早くヌけるかなんて競っていたのとは、全く別の次元に踏み入れてしまったみたいで、当のマコちゃんが何とも思っていないような顔をしているのが、むしろ不思議なくらいだった。
マコちゃんにしがみ付いて、出してしまった。その事実はもう変えられない、後戻りできないんだって思った。
「あら、まだ何かご不満?」
モヤモヤしているのを感じ取ったように、マコちゃんが訊ねてきた。
聞きたい事は、色々あった。そもそも"何か"を提案してくるに至った思考回路とか、一週間も一緒に居るほど仲良しだとはいえ、他人のを触るのにほとんど抵抗が無さそうだった理由とか。あんな姿を見せてしまった直後だというのに、どうしてそんな風に平然としていられるのか、とか。
でも、訊けなかった。頭がふわふわして、夢の中に居るみたいだった。
「ううん。気持ちよかった。」
そう答えるとマコちゃんは軽く笑ったけど、それから少し首を傾げて、
「気を遣わなくていいのよ?」
そう言う自分は、さりげないけどずっとこっちを気遣うようにしているクセに。優しくて。甘えてもいいんだって思わされてしまった。
「言いたいこととか、やりたい事とか、自由にしてちょうだい。」
そんな言葉を聞きながら、マコちゃんの瞳を見ていた。外国人っぽい顔立ちを更に際立たせる、パッと見はブラウンだけど、よく見るとグレーやブルーの混じったような不思議な色。浴室のオレンジの照明の所為なのか、それが一層透き通って見えた。
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