マコちゃんとチィとボク

29/35
前へ
/35ページ
次へ
マコちゃんの腰を両手で掴んで、少しずつペースを早めた。時々膝が浴槽に当たって、ゴンゴンゴンという音がしていた。 さっき出してしまったところで、硬くなりはしたけど、すぐには出そうになかった。マコちゃんはそれを分かって受け入れてくれたのか、単に断り切れなかったのかは分からない。マコちゃんに否定された経験は、一度として無いのだ。だから、こんな事にまでなってしまっている。こんな、ただの仲良しな男同士ってだけなら、明らかにしないような事。優しくて、全部を受け入れてくれるマコちゃん。一緒に居たいと思っていたら、本当に一つになってしまったなんて、少し行き過ぎかも知れない。でも、今更止められそうになかった。 「すげーキモチいい…マコちゃんのナカ…」 びったりと狭くて、熱くて、ジンジンと痺れるように包み込んでくるその内側で、もっとキモチよくなりたいと思った。 細い腰に添えていた手を滑らせる。背骨や肩甲骨の窪みに沿って広い背中を撫でて、舐めて、首を伝って、黒い髪から覗く耳に辿り着くと。 「あっ、」 と、マコちゃんが聞いた事の無い声を漏らした。すごく感じ入ったのが分かってしまうそれは、咄嗟にマコちゃんが口を押さえるほど。 ぐいぐいと深い所を目指して押し込みながら、途切れ途切れに訊いた。 「マコちゃ、耳…好き、なの?」 マコちゃんは答えてくれなかった。代わりに、後ろから見える顔の輪郭を真っ赤にして、突かれるまま、前髪を揺らしていた。 「ねえっ?」 思わず強い調子で聞いて、マコちゃんの背中に胸を付けて顔を覗き込もうとした。長い睫毛が伏せられたのが見えた時、既にギリギリのところまで擦り切れていた目に見えない部分が、ぷちんと切れてしまったような気がした。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加