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マコちゃんは対面式のキッチンの中で、何やら手を動かしていた。眼鏡を掛けているところを見るに、今日は外出の予定は無いらしい。
チィを抱き上げて、首の後ろを撫でながら返事をする。
「ただいま。お腹空いてるわよ。」
話し方を真似して返すとマコちゃんは下を向いたまま、ふふふと笑って。
「先にシャワー浴びて来なさい。」
当たり前のようにそう続けて、チラッと目線をこっちに寄越し、またすぐに手元へ戻す。
「今日もすごい格好ね。」
チィをリビングの床に下ろして、キッチンの入口に寄り掛かる。
「起きたら服、シワシワになっちゃってて。」
「夜の間に脱ぎ散らかして?」
「うん。」
背の高いマコちゃんが下を向いている。ちょっと猫背でなだらかな身体の曲線と、今は髪が少し伸びていて、そこから覗くうなじが綺麗。
近寄って、右手でお尻を撫でるように触った。
「ちょっと。」
そう軽く言ってくるマコちゃんは、思わず触ってしまうほどスタイルが良い。少し外国人っぽい顔立ちに、いわゆる細マッチョというやつで、脚が長くて、腰の位置が高い。身長が低い男としては、そんなところも羨ましい。
「まだシたりないの?」
マコちゃんには、全部ぜんぶお見通しなようだった。昨日の夕方くらいに家を出てから、一回も連絡なんて取っていないのに。何処で誰と何をして過ごしたのかなんて、自分自身ですら記憶が曖昧な事を、マコちゃんは手に取るように分かるみたい。
「部屋は綺麗だったけど、顔はあんまりタイプじゃなかったよぉ。」
ふざけながらそう言って、調子に乗って、広い背中に後ろから抱き付く。両手が塞がっているのを良い事に、エプロンの隙間に手を入れて乳首をまさぐった。
「コラ!」
包丁を持った手で振りほどかれ、一瞬ヒヤッとする。でも、笑いが漏れた。絶対に有り得ないけど、マコちゃんになら刺されても良いかな、なんて思っているから。
「お風呂、入ってきマース。」
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