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コンビニ
三十分ほど前から降り出した雨は、勢いを増していた。
コンビニのレジカウンターに立つバイトの青年は、その雨をぼんやりと眺めていた。
休日の昼間だってのに客が少ないぞ。
まあ、楽で良いけど。
ていうか、何ならもうこの先は一人も来なくてもいいな。
そんな事を考えていた。
今、コンビニの中には化粧の濃い女が一人いるだけだ。
さっきからずっと立ち読みをしている。
自動ドアが開き、チャイム音が店の中に鳴り響いた。
ツイてない。客が来ちゃったじゃないか。
水滴の落ちるビニル傘を、出している傘立てに入れる客を見ながら、雨が吹き込むから早く入れよ、とバイトは心の中で罵った。
「いらっしゃいませ」
マニュアル通りに出迎えの声だし。もちろん、それに何かの反応があるわけでは無い。
入ってきたのは、アロハシャツを着た若い男だった。
髪は金色で、耳にはピアスをつけている。
何が楽しいのか知らないが、笑っていた。
ロクな奴じゃない。
金髪男を見ながら、バイトはそう思った。
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