Sunday

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Sunday

 噎せ返るような精の匂いに飛び散る汗と、恥じらいを捨てた濡れた声。  激しく軋むベッドの上で仰向けになった俺は、つい昨日撮影した画像を見返していた。  桐山宇咲──。少し痩せすぎだが、なかなかステージ映えしそうな素材だ。顔立ちや肌色を含め、見た目も悪くない。体に傷もなく、これまでに仕込まれた経験もない。 何より、あの従順さは貴重だ。押しに弱いというよりは、何の疑問も持たず素直に言うことを聞くタイプの男。ずっとそんな素材を探していた。 「………」 しかしホテルで彼が寝ている間に撮ったはいいが、どうせならもっとまともな寝顔の時を狙えば良かったと思う。何枚か撮ったものの、全てが間抜け顔だ。大口を開けて涎も垂れているし、気持ち良さそうだがだらしない印象の方が強い。 「なあ、どう思う」  ベッドの端に座って煙草を吸っていた相棒にスマホを渡し、感想を求める。俺の相棒──ネオンは画像の青年を見て「ぷっ」と笑い、 「偉音らしくないな。普通の子過ぎて」  とスマホを俺に返してきた。 「もっとちゃんとした場所でスカウトしたら? 素人の子も魅力的だけど、アドリブ効かないでしょ。もっとこうさぁ、彼みたいなプロを雇った方がいいと思うよ」  そう言って、ネオンが俺の上に跨る「彼」を見上げた。 「あっ──あ、あんっ、偉音さん、凄いっ……おっき、ぃ……あぁっ!」  寝ていれば勝手に腰を振ってくれる幼顔のデリヘルボーイは、ネオンが土曜のクラブで調達してきた青年だった。計四回、時間にして二時間以上俺の上で喘いでいる。それでも声は枯れず、腰を上下する度に揺れる股間のそれも萎えていない。 面倒臭くないし、それなりにテクニックもある。それがプロの良い所だが、俺としてはこの「慣れている」感じが少し気に入らなかった。彼が悪い訳ではない。遊ぶだけならプロの方が良いに決まっている。 「良いステージにするなら、それに見合った子を選ばないと」  ネオンがベッドの上に立ち、彼の頬に自身の萎えたそれを押し付けた。 「タカシロ、咥えて」 「んん、……」  下からすくい上げるようにしてそれを咥えた彼──タカシロが、愛おしむような表情でネオンを見上げる。俺は再びスマホを開き、宇咲の寝顔を拡大しようとした。  が、 「……クソ」 「あら、電話? オーナーから?」 「ああ」  震えるスマホの通話ボタンをタップし、そのまま耳にあてる。 〈偉音。飯島だけど、今大丈夫か〉 「大丈夫すけど」 俺達が次に出るクラブのオーナー、飯島清次郎。助平で金に汚くて小心者の禿げた成金オヤジだ。 〈月末のショーのことだけど、今一度確認しておきたくてな。準備の方は順調か? 内容についても早く知らせて欲しいんだが〉 「はあ、その辺は任せて貰えれば。俺らも素人じゃないんで、期待は裏切りませんよ」 〈頼むぞ。今回は特別なゲストも多いからな、彼らが満足するショーをやってもらわないと、お前達の今後にも影響が──〉 「はあ」 くすくすと笑って、ネオンがタカシロの頭を撫でる。 タカシロの口を大きく開かせ、そのまま── 「あ、あぁ……」 タカシロの口の中に溜まってゆく透明の液体。咄嗟のことに彼も腰の動きを止め、零さないよう上を向いて体を緊張させている。 許容量を越えたネオンのそれが、タカシロの口からだらだらと溢れていった。 「ネオン。てめえ、人のベッドで……」 〈聞いてるか、偉音〉 「──ああ、はいはい。じゃあ今から素材の画像と簡単な内容だけメールしときますよ」 〈頼んだぞ。皆、お前達のステージを楽しみにしている〉 「………」  視線をタカシロに向けると、それを察知したネオンが笑みを浮かべながら頷き、言った。 「スワロー」 「んっ、ん──」 「任せといて下さい」 〈それならいい。頼んだぞ、偉音〉  通話を切り、スマホを床に放り投げる。俺は上に跨ったタカシロの腰を強く押さえ、力任せに下から突き上げた。 「ああっ、あ──だ、め、……壊れ、ちゃ……!」 「あーあ、偉音のやる気に火が点いた」 「っ、……!」 「も、もぉだめ、っ……偉音、さん、……! 勘弁、して下さっ──」  ガクンと頭を後方に曲げたタカシロの体を、ネオンが慌てて支える。それでも構わず俺は腰を振り続けた。体の底からガスのように欲望が湧き上がり、頭で何を思おうとも自制が効かない。 「やめてやれよ、失神しちゃったぞ」 「じゃ、交代してお前が乗れ」  困ったようにネオンが頭をかき、取り敢えず、とタカシロの体をベッドに寝かせた。 「口でなら抜いてあげるよ」 「お前の下手くそなフェラじゃイけねえ」 「ムカつく」
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