第2章 新しい日々

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そんな風に喧嘩したのが十二月で、俺はその日以来、朝飛と話さなくなった。それで、一ヶ月ちょい過ぎた時かな。朝飛の友達が、俺に朝飛と話していないようだけど、どうしたんだって聞いてきたんだ。本人に聞いても何も答えないらしくてな。だから、俺は軽く理由を話した。そしたら、そいつは驚いていたんだ。何で驚いたのか分からなくて、俺はそいつに聞いた。何かそんなに驚くようなことあったかって。そしたら、そいつは……。 「朝飛が佐倉さんと別れた理由は・・・」 それを聞いて、驚いたよ。その時は放課後で、朝飛は帰っていたようだったから、俺は急いであいつの家に向かった。 友達の話だと、朝飛が佐倉と別れたのは、佐倉が付き合って二ヶ月後ぐらいから、メールが多くなっていって、それがとても嫌になって、別れたらしいんだ。俺は、佐倉がそんな重い子に見えなかったから驚いた。何で俺にその理由を言わなかったんだろうと言ったら、そいつ曰く俺には言うなって口止めされていたらしい。朝飛は、俺が佐倉のことを好きなの知ってて、付き合う時は知らなかったらしいが、それに気がついて。自分が好きな人の印象を悪くしたくはないだろうって。あいつは、俺が傷つかないために、全てを自分のせいにして、佐倉のことを隠していたんだ。馬鹿だろう、あいつ。 朝飛の家に行くと、いつも通り部屋にあいつはいて、勉強していたんだ。俺はあいつの顔を見た瞬間、何を言えば良いか分からなくなった。それなのに、あいつは……。 「俊、ごめん。機嫌直ったか。」 そう言って、普通に何事も無かったかのように笑うんだ。俺は、少し泣きそうになったよ。ちょっとかっこ悪いけどな。 「お前、何で別れた理由言わなかったんだよ。知ってたら、お前をあんなに責めなかったよ。」 「そりゃー、言えないだろう。誰だって、好きだった人が思ったような良い人じゃなかったと知るの、嫌だろう。俊は知らなくても良いって思ったんだ。」 「何だかんだで、俺は大切な友人って訳だな?」 「ああ、そうだ。僕の一番の友人だ。」 あいつ、そんな事をさらって言うんだ。よくそんなこと言えるなって思ったらおかしくて、それから二人して笑っていた。 その日は遅くまで、長話したんだったなー。翌日、寝坊したよ。
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