第2章 新しい日々

4/10

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
日曜日、長めのシャツにパンツというシンプルな格好で、私は指定された駅に向かった。駅の改札から出た所に、既に長谷川は待っていた。 「おはよう、長谷川。」 「おはよう、山本。俊は、既に俺の家で待ってるんだ。行こっか。」 私たちは家に向かう道中、軽く話しながら歩いていた。佐藤くんがどんな人なのか聞くと、うざいチャラい奴という解答が帰ってきた。それで何で友達なんだろうと思いながら、話を聞いていると、二人は小学校の頃からの幼馴染で、家は歩いて十五分圏内のとても近くらしい。だから、よく家に遊びに来て、ごろごろしたり、ゲームしたりしていることが多いらしい。そう話す長谷川は、とても嫌っているようには見えなくて、本当に仲が良いんだなと少し羨ましく思った。幼馴染みがいるって、やっぱり羨ましい。 その内、長谷川の家に着いた。家は綺麗な一軒家で、私は少し緊張しながら、お邪魔しますと言って、家の中に入っていった。外観と同様、内観も綺麗で居心地良さそうな空間だった。私はマンション暮らしだから、少しだけ羨ましい。二階に長谷川の部屋があるみたいで、二階に案内され、ドアを開けてくれたので入ると、人がいた。 「おはよう、朝飛。こちらの方が、山本さん?初めまして、佐藤俊です。」 「初めまして、山本桜空です。」 「いやー、朝飛がお世話になっているようで。朝飛、迷惑かけてない?大丈夫?」 「お前は、僕の保護者じゃないだろう。」 腹立たしげに言いながら、長谷川が佐藤くんの隣に座ったので、私は真向かいに座った。テーブルは少し大きめだったので、確かに三人ぐらいで勉強するにはちょうど良さそうだった。私は少しだけ部屋を見てみると、シンプルな内装で、そんなに物は多くなかった。本はやけにいっぱいあったけど、それぐらいっぽい。 「あんまり、部屋を見ないでくれよ。恥ずかしいから。」 部屋を見ているのがバレたみたいだったので、私は大人しく勉強道具を取り出し始めた。 「何か飲み物と食べ物、用意してくる。少しくつろいでて。」 長谷川はそう言うと、1階に降りていった。 「山本さんは、何で朝飛と付き合おうと思ったの?」 いきなり単刀直入な質問に、私は一瞬びっくりした。 「長谷川は、私と違って、落ち着いていて、しっかりしているっていう印象だったから。羨ましいって思ったんだ。それで、かな。」 「なるほどね。でも、全然違ったっしょ?それでも後悔してない?」 「後悔してないよ。思ったよりも喋りやすいし、話してて楽しいよ。」 本当にそうだ。思ったよりよく喋るけど、落ち着いてはいるから、向葵と玲央と話している時とは違う楽しさがある。 「そっかー、良かった。そういえば、山本さんって、藤井と友達だよね?最近は、喋ってるの?」 「最近は、話す回数減ったかな。向葵と玲央の仲を邪魔したくないし……。クラス離れちゃったからね。」 そういえば、玲央と向葵どうしているかな?二人で仲良く勉強しているかな? そんな風に考えると、少しだけ胸が痛んだ。 ◇ 私は、玲央の部屋で勉強していた。玲央の部屋に来るのは久しぶりで、相変わらず少し散らかってた。まあ、あまり気にせずに、自然体で接してくれているのかなって思うと、少し嬉しい。 「なあ、ここどうやって解くの?」 「えーと、これはねー・・・」 私たちは今数学の勉強中だ。だけど、私もそんなに数学得意じゃないから、解説するのが難しい。 「やっぱり、桜空来てくれれば良かったな?俺と向葵じゃ、進まん。」 「悪かったねー。仕方ないじゃん、桜空は長谷川くんとその友達と勉強会なんだから。」 「冗談だよ、悪かったって。俺らも頑張ろう。」 玲央は、桜空のことをよく気にしてる気がする。時折そう思う。だから、私は不安になる。この人は、私の事好きなのかなって?恋人だと思っているのかなって?でも、そんな事を言える訳ないから、私は玲央が楽しそうに笑っていれば、幸せだと思うようにしている。 桜空は、三人で楽しく勉強中かな?
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加