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「なんか、履歴書書く時みたいに緊張する…」 お母さんとの電話を切った後、ハジメさんは私が大学で使っている大きい付箋に連絡先を直筆した。 「うわぉ…ひでぇ字。お許し貰えたけど、これで却下されたらどうしよ(泣)」 「そんな、ひどくないじゃないですか。味があって、ハジメさんらしくていいです」 「そ~…かねぇ?(苦笑)」 ん~、と唸りながら、キャンプ場のHPを見てその電話番号を書いていく。 お母さん、その人の人柄は書く文字にも表れるってよく言っていた。 私に聞くなりすれば早いのにわざわざこうして書かせる条件を出したのは、その為かもしれない。 「書けた。ハイ、お母さんに渡してな」 「はい。わかりました」 ハジメさんから受け取り、手帳に貼り付けてそっと閉じた。 その様子をハジメさんがじっと見つめる。視線を絡めると、 「ホノちゃん。 一泊… …ほんとにいい…?」 熱っぽく問われて、頬がカッと燃えた。 「…ハイ…」 掠れた声で静かに頷くと、ハジメさんの顔がゆっくり近づいて… 唇が柔らかく押し当てられる。 「ン…ッ」 大きな手が私の頬を包む、私よりほんの少し体温の高い手。 唇が数cm離れた時に、私とハジメさんの呼吸が重なる。スー、ハー、これに鼓動が乗って、苦しいような、心地いいような… 「…ハイ、今日はここまで。 帰すってお母さんに言っちゃったもんな。 気を付けて帰りな。 また夜、電話する」 もう一度ちゅっと音を立ててキスをして、私達は離れた。 ハジメさんは…これまで、軽いキスしかしてきてない。手も、指先を握るしかしない。 それも十分にドキドキするけど… もっとくっついたりしないのかな。 ぎゅっと抱きしめ合ったり、 舌入れのキスをしたり、 しないのかな。 剣道やってて男の子っぽいから… …私に魅力がないのかな。 付き合い始めて2ヶ月、この事が、ほんの少し私を悩ませるようになっていた。 …
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