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〈3〉
お昼を少し過ぎた頃に、私達が寝泊まりするキャンプ場に着いた。
【○○キャンプヴィレッジにようこそ!】
という木製の大きな看板に出迎えられて、入ってすぐ脇にあった駐車場に車を停める。
「ホノちゃん、ちょっと車で待ってて。チェックイン済ませてくる」
と言って、ハジメさんは管理事務所の方へ行ってしまった。
周りはうっそうと木が生い茂って、管理事務所の向こうに炊事場やテントベースが見えた。
【↑アスレチック場】【→マスつかみ取り】【←○○の滝】などの案内板もあって、色々楽しめそうでワクワクしてきた。
しばらくして、ハジメさんが台車に食材や調理器具を乗っけて戻ってきた。
「急げ急げ~」
「?ハジメさん?」
「あっホノちゃん。後ろにクーラーボックス乗っけてるんだ、取ってもらっていい?」
「ハイ」
バックドアを開けると、白いクーラーボックスとハジメさんの黒いスポーツバッグが並んでいた。
それらを台車に乗せている間に、ハジメさんは私の荷物を取り出して車の鍵を掛けた。
「あっ荷物、ありがとうございます」
「いやいや。それより、急げ急げ」
「えぇ?ハ、ハイ」
足早に台車を押していくハジメさんの背中を、必死に追いかける。
管理事務所のおじさんが、
「おにいさん、そんな急がなくても大丈夫だよ。
途中からでも、ちゃんとスタッフが付くから。
慌てないで、しっかり戸締まりしてから行きなさいよ」
と声を掛けた。
「はいー、お世話になりますー」
足を止める事なく、ハジメさんはおじさんに返事をして、どんどん奥へ進んでいった。
炊事場を過ぎ、テントベースも過ぎ、てっきりテント宿泊と思っていた私はびっくりして、ハジメさんに聞いた。
「ハジメさん?どこまで行くんですか?こっちじゃないんですか?」
「へへ。俺達は、あそこ」
ハジメさんが指差す方向はログハウスエリア。
「えっ、ログハウスなんですか!」
「ウン。あの、まずかった…?」
私の驚きの声に、ずっと前を向いたままだったハジメさんがやっと振り向いた。
その顔は少し…不安そうだった。
…
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