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走ってきた私達を見て、スタッフさんが声を掛けて手招きをした。 「あっ、最後の受付の方ですね?事務所から連絡受けてます。どうぞこちらへ」 ひとつ空いていたテーブルを案内されて席に着くと、丸めたピザ生地とソーセージやトマトなどの具材を乗っけたお盆を持って、スタッフさんがひとつひとつ説明しながら付いてくれた。 「まずはこの生地を…こう手で伸ばして… せっかくですので目一杯大きくしましょう… どうぞ、この麺棒をお使い下さい…あは、すごくお上手ですよ」 ハジメさんが手際よく生地を伸ばして、途中で私も麺棒で更に伸ばして、かなりの大きさに広がった。 私がピザソースを生地に塗っている間、ハジメさんがかなりのスピードで具材を切って、それを見てスタッフさんが目を丸くしていた。 「あ、僕お店やってるんで」 とハジメさんが笑いながら言うと、 「ははぁ、どおりで。いや、お見事です!焼きまでの経過がこんなに早い人はなかなかいませんよ」 感心したようにスタッフさんは溜め息をついた。 具材を沢山乗せ終えて、ちょうど焼き釜が空いたので、スタッフさんのサポートで私がピザを長ヘラで釜に入れた。 「わぁ、あっつい」 「ヤケドにご注意下さいね、一気に引きますよ!」 そう言われて、スタッフさんと一緒に長ヘラを抜いた。ピザが釜の中央に収まったのを見届けて、額から流れる汗をそっと拭った。 「お疲れさん」 「ふふ。早く食べたいなぁ。絶対美味しいですよ」 「なぁ。1分ちょっとで焼き上がるらしい」 「あ、そんなに早いんですね」 そんな事をハジメさんと話しながら、釜の炎を一緒に見つめていた。 ハジメさんの言う通り、「ハイ、焼き上がりです!」ともうスタッフさんが言って、今度はハジメさんと一緒に長ヘラを持ってピザを取り出した。 「なんかアレみたいだな…あの…共同…」 「エッ?ナニ?何ですか?」 「イヤ!なんでもなーい!わぉ、うまそー!食べよう食べよう」 ハジメさんが何て言ったのか聞こえなかった。 もう一度聞こうとしたら、ハジメさんがピザのお皿を手渡してきたから、食べざるをえなかった。 一口かじると、熱々の蒸気と一緒に小麦の香りがふわっと広がって、「ンーッ!」ハジメさんの言った事はどっかに飛んでいってしまった。 それくらい美味しかった、ハジメさんと一緒に作ったピザ。 …
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