〈3〉

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シャワー室を出ると、ハジメさんがすでに外で待っていた。 バルコニー型のフリースペースで、柵に肘を掛けながらぼんやりと遠くを眺めていた。 私の気配に気付いて、肩越しに振り返ってにっこり笑った。 「さっぱりした?」 「ハイ。汗も疲れも全部、流してきました(笑)」 「(笑)。飲む?」 差し出された1本の炭酸のペットボトル。もう1本持っていて、まだ未開封だった。 先に飲んでくれてよかったのに、わざわざ私を待っていたのかと思うと…頬が緩んでしまう。 プシュウッと同時に空けて、ゴクリと喉を鳴らすタイミングまで同じなのが可笑しすぎた。 「ワザと?(笑)」 「ちがいますよ!(笑)」 「あー。あのさ。 いいね。ソレ」 「?何です?」 「コレ」 シュシュでゆるく結わいて左の肩から前に流した、まだ生乾きの私の後ろ髪を、ハジメさんが軽く手に乗せてサラサラと梳いた。 「見たことなかったから、新鮮」 「そう…ですね。言われてみれば、ハジメさんの前ではポニーテールしかしてないかも。 でも家で休んでいる時は、いつもこんなですよ」 「ふぅん。いいね」 「何がですか。もう。あんまりイタズラしないで下さい」 「(笑)」 私の言葉に構わず、毛先を弄るハジメさん。 ああもう、シャワーで流した動揺がまた戻ってきた。 「ハ、ハジメさん。お腹空きませんか?アスレチックであんなに動いたから」 ごまかしたくて、無理矢理話題を変えてみる。折角のアウトドア、自分の変な気持ちに振り回されたくない。 「うん?そうだなぁ、お昼のピザはすっかり消化されたな(笑) あっそうだ、あっちに魚の掴み捕りがあるらしい」 「あ、さっき私も案内図で見ました。行ってみますか?」 「ウン。捕った魚、その場で焼いて食べれるみたいだから、おやつ代わりにどう?(笑)」 「ふっ、いいですね(笑)行きましょ」 飲み干したペットボトルをくずかごに入れて、私達は川の方へ歩いていった。 …
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