〈4〉

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彼の奥さんとお子さんが見えていた所に近づくと、(あい)ちゃんおっそー、と声が飛んで、彼は苦笑いをしながら、 「あ、俺、相田(あいだ)っていいます。だから相ちゃん(笑)」 私達を振り返ってそう言った。 「ちょっとみんないい? こちら…えーと、ハジメくんとホノちゃん、でよかったよね? 俺らのマスの下処理をしてくれたんだ。彼らの分もここで焼かせて」 「あっどうも…ハジメです」 「ホノカ…です。おじゃまします」 どうぞどうぞ!と皆さんは気さくに私達を輪の中に入れてくれた。 マスを焼く間、相田さんの奥さんが娘ちゃんを抱っこしながら隣に来て、 「主人がお世話をかけたようですみません。 もう、見ず知らずの方に…一体何があったの?」 私達と相田さんを順番に見た。 「え?あぁ、俺がね、指輪外してうっかり落としちゃってね、それで…はっ」 そこまで言って、相田さんはしまった!という顔をして、奥さんに鋭く睨まれた。 奥さんが言うには、昔からしょっちゅう指輪を落とすらしかった(苦笑) 「だからね、メイコさん、魚の臭いが付くのがイヤだったんだってばぁ」 「知りませーん。 あ、よかったらお魚焼けるまで、焼きマシュマロでもいかがですか?」 相田さんの言い訳をスルーして、奥さんが竹串にマシュマロを刺して炙ったのを私達にくれた。 トロッと口の中で溶けて、新鮮な触感。こんな食べ方もあるんだと感動した。 ハジメさんはやたら男性陣にお酒を勧められていたけど、丁重にお断りして一滴も口にしなかった。 焼き上がったマスを皆でいただいて、それがすごく美味しくて絶賛の嵐。ハジメさんの下処理が素晴らしかったおかげ。 何度もお礼を言われながら、私達は相田さん達と別れた。 「ふー。賑やかな人達だったなぁ(笑)」 「そうですね(笑) 相田さん、パパさんでしたね」 「ウン」 「可愛い奥さんとお子さんでしたね」 「ウン」 「幸せそうでしたね」 「ウン」 「あの時…ヤキモチ?」 「…ハイ。 はぁ…ダサいな、俺」 「ふっ…そんなことない…ふふっ…」 ログハウスに戻る道すがら、私達はそんな事を話しながら…手を繋いで歩いた。 …
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