〈5〉

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「…ッ…」 何度も唇を吸われて、その度に響く水音を聞いて、私の内側から恥ずかしい気持ちが競り上がる。 お店で何度も経験済みなのに、今日はことさら羞恥心が大きい。 鼓動を隠したくて手で覆いたい、でも、ハジメさんがそれを許さない。 ハジメさんに柔らかく拘束されたまま、唇の感触を一心に受ける。 …コーヒーの香り。 「コーヒー…冷めちゃったの…飲んだ…?」 ボゥッとなりながら、ハジメさんに聞く。 「ン…?ウン…飲み干した…」 熱っぽくハジメさんが答える。 徐々に…お互いの唇に空間が出来る… 舌…入れる…? 私とハジメさんの熱い息が重なって、少しだけ、舌先が触れた、その時。 ボーン。ボーン。ボーン。 壁掛けの振り子時計が、18時を報せる為にけたたましく鳴り響いて、私達は瞬時に身体を離した。 鳴り終わるまで、見つめ合って… 「…へへ。充電終了」 ハジメさんはニヤッと笑って、キッチンへ向かった。 ドキドキがすごくて、私はしばらくソファから立ち上がれなかったけれど、気を持ち直して、ハジメさんと並んでキッチンに立った。 「ホノちゃん、生もの出してくれる?」 「ハイ。わぁ、ハジメさん魚介類も持ってきてくれたんですか」 「おう。これで海鮮焼きそば作ろうな」 「やった。楽しみ」 そんな会話をしながら材料を切っていって、少しずつ落ち着きを取り戻した。 その一方で、ハジメさんのコーヒー味のキスと、さっき見た夢が、なんでだか重なって、 ハジメさん、まだしてないって言ったけど、私が眠ってる時に…したのかなって急に思った。 …後日、私が問い詰めたら、 「…ハイ、しました… だって!寝てるし…かわいいカオだったし… するなって方が…ムリでしょ?」 と、ブツブツと言いながら耳を真っ赤にして自首した(笑) …
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