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下着を勢いよく上げて、胸をクロスした腕で隠す。
膝も閉じて、これでもかというぐらいに縮こまって、ソファーの背もたれに横向きに倒れた。
そんな私に、ハジメさんは脱ぎ捨てた自分のスウェットの上を、私の頭から被せた。
少しブカブカ。
ハジメさんの匂い。
袖を通さず、頭だけ出してしばらく動かなかった。
「ブレーカー云々じゃなかったみたいだなぁ」
言いながら、私の頭を胸に抱き寄せるハジメさん。
私だけじゃない、上半身剥き出しのハジメさんも煌々とした灯りの下に晒されて、私の視線は行き場を失った。
もう、肩の線やら鎖骨の窪みやら、男らしいと思うものに心臓が早鐘を打つ。
「…ホノちゃん?
…おこってる…?」
ハジメさんが不安そうに呟いた。
ホノちゃんに戻ってる。
ハジメさんはもう、切り替わったのかな。
私はまだ、こんなにバクバクしてて、震えてる。
呼吸の乱れがなかなか整わないのを察知したのか、ハジメさんは頭のてっぺんから背中にかけて、大きくゆっくり撫でた。
袖を通して、ハジメさんの背中に腕を巻きつける。
「おこってない…けど…イジワル…」
ハジメさんの胸に顔をうずめて、呻いた。
「…だって…
かわいかったから…
メチャクチャにシタイ…って言ったじゃん…」
頬がありえないくらい燃えた。
メチャクチャに、サレタ。
ーーーおしまい?
そう思ったら、急に寂しくなった。
お店でキスをして、帰る時間になった時と同じ寂しさが、私を襲う。
「…なんてカオしてるんだよ…」
ハジメさんが少し驚いた顔をして、すぐにふっと笑った。
私の頬を両手で包んで、深いキスを落とす。
「んっ…」
「ァア…
ホノちゃん…
ホノカ…
…そんなカオするなよ…
…止まらねぇ…
…メチャクチャに…
………
…ベッド来て…」
最後の方は掠れ声で、わずかに震えていた。
私と同じ思いであると伝えるには十分だった。
…
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