赤とダンスを

　真っ赤な口紅を塗って真っ赤なサイハイブーツを履く。
　これから、新曲のミュージックビデオの撮影だ。今回は赤がイメージカラーと言うことで、スタイリストが私お気に入りの靴ブランドにブーツのオーダーをしたのだ。
　レースと編み上げがあしらわれたそのブーツはひと目で私も気に入ったし、なにより撮影中、どんなに激しく踊っても安定感がよかった。高くて細いヒールなのにさすがと言うほかない。
　長時間にわたる撮影の間、このブーツとそれに合わせた赤い口紅は、私の気分を盛り上げてくれた。

　撮影からしばらく経って、編集が終わったミュージックビデオを確認する。
　エッジの効いた曲を、鮮やかな赤が引き立てているのを見て思わずにやりとした。