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ある日のこと、私が街を
歩いていると、どこかで
人々の声が、ざわざわとしていた。
その声の方へ、私は一歩ずつ
一歩ずつ近づいていく。
「誰か!…誰か!…助けて…」
「ハッ!…」
その先に見えたのは…
赤く染まっていく1つの
アパートが…
私の目に写る。
そのなかに、一人の女の人が
叫んでいる。
「行かなきゃっ!…」
「君…どこいくんだい?…
危ないだろ?」
「そんなこと言われたって…
人が!…人が…助けを読んでるんです!離してください!」
私は、近くにいたおばあさんの
手を振り払い、そのまま中へ
入っていく。
燃える火の中へ、私は姿を消す。
「大丈夫ですか!…今いきます。」
「助けて…助けて…。」
「コホッ…コホッ…。」
「手を…。」
「子供が…子供が…。」
「…えっ?…。」
「ママ~!…どこ?…。」
「あ…。」
「子供を、先に助けて…ください。
私は、大丈夫です…あの子は、裕太は
病気なんです。早く…しなきゃ…。」
「わかりました。」
私は、母親にうなずき…
男の子のところへかけていく。
「ママ~!」
「裕太君…今いくから」
私は、裕太君のもとへ手を伸ばし
その子を、抱っこして…
母親のもとへいく…
だけど…炎は強くなっていく
私も…限界でつつあった…
でも、この親子だけは
命かけても、助けなきゃ…
そう思い、最後の力を振り絞って
母親のもとへ、そして…
二人を抱え、外に出る。
「人が…出てきた!」
「大丈夫か!」
外に出ると、人々が私たちのもとへ
やって来て、心配の声をあげる。
「早く、救急車…呼んで!」
「消防車も…。」
消防車と救急車の音が…
だんだんと、近づいていくなかで
私は、意識をなくしていく。
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