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恋愛に困難は付き物・・・初恋は実らない・・・それ以前の問題まで1秒前
いつ帰ってきたかもわからない。
携帯も鞄も上着も部屋の隅に投げ捨て僕は布団に潜った。
寒いくらい冷房の効いた部屋で空っぽになった心を抱いてただただ静かに泣いた。
何度か携帯が鳴っていたが無視し自身の殻に閉じこもった。
初恋は実らないと誰かが言っていた気がした。
恋愛に困難は付き物だと本に書いてあった気がした。
だけど・・・
だけど・・・好きな人が実は男で自分を騙すことがあるなんてどこにも書いてなかった。
恋愛なんて・・・僕には無理なんだ。
その日から学校を休み僕はまたゲームの日々を送ることにした。
「・・・愛菜さん・・・」
騙されたんだ。
酷い人だったんだ。
そう自分に言い聞かせるも口から零れる彼女の名前。
好きだったゲームも楽しく感じなかった。
ただただぽっかりと空いてしまった胸の内側が虚しさでいっぱいだった。
泣いて泣いて泣いて・・・喉が渇いた僕はリビングの冷蔵庫を開けた。
そこには、初めて会った日に飲んだメーカーと同じスポーツドリンクがあった。
蓋を開け、あの日のように口を付けると彼女との日々が体を駆け巡り潤っていく。
いつも赤いルージュを塗っていて、
いつも僕を心配してくれて、
いつも隣で笑っていた彼女が偽っていたとは思えなかった。
あんなにうまく人は嘘なんかつけない。
あれはきっと本心だと気づいた僕は携帯を手に家を飛び出した。
男でも女でもいい。
ただ彼女と一緒にいたかった。
僕は、彼女との・・・愛菜さんとの日々が楽しかったのだと心から思えたのだから・・・きっとこれが僕の初恋なのだろう。
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