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恋愛経験0、勇者が旅立つ5秒前
「真咲、お前ずっと彼女いねーってまじかよ?」
そう言い僕の隣で高らかに笑う幼馴染の桐山 翔(きりやま かける)。
「えー、ほんとに?じゃあ将来は神様だね!よかったじゃん。勇者から昇格おめでとう!」
翔の横で女性らしからぬ勢いで下ネタを吐く、これもまた幼馴染の今里 美樹(いまざと みき)。
保育園からの付き合いで、かれこれ20年程こんな調子である。
「二人は今いるの・・・?付き合ってる人・・・とか・・・」
曖昧に二人を窺う僕に、
「昨日別れたけど、今日から別の人と付き合うことにしたんだよねー」
軽々しく恋愛事情を口にする美樹。
「まじか?言ってくれたら俺付き合ったのに」
「翔と付き合うとか無理!軽すぎてひくわー」
「まあ、今は巨乳ちゃんと付き合ってるから無理だけどなー!美樹、胸ねーし」
僕は、2人の会話を聞きながら心の奥底で、
『ふたりとも軽すぎだろ!!』とひとりツッコミを入れる。
何も変わらない日常。
根暗で不器用で恋愛のれの字も知らないような僕に運命の出会いがあることなんてこの時の僕は想像もしなかっただろう。
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