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ラストステージ
『それでは最後のプログラムです。〈ソウトモ・リコピン〉です』
放送部のアナウンスが講堂に響く。明るいステージが待っているのは、ラストステージを迎える【ソウトモ☆リコピン】の三人。
智が卒業後にプロデュースされることは、今や全校生徒が知っている。
その彼がステージに姿を現しただけで、会場は熱気に包まれた。にわかファンも多いが、元々クラスでも人気のある智。その歌声のファンも多くいて、彼女たちは一斉に黄色い歓声を上げた。
講堂は満席。立ち見もいる。
莉子は相変わらずズシリと重いベースのストラップを肩に掛け直し、マイクの高さを調節する智の合図を待つ。
天井からのライトに照らされた、智の茶髪の毛先が金色に光っていた。
「全校生徒の皆さん、俺たちの曲を聴きに来てくれてありがとうございます」
マイクテストを終えた智が明るい声で言った挨拶に、「全員じゃねーぞ!」と、誰かが冗談めかして野次を飛ばした。
「うるせー、高島、出てけ!」
智は耳がいい。すぐに名指しで応戦し、会場からはクスクスと笑い声が起こった。
なんで、こんな人気の智に彼女がいないんだろう。
そう思ったことはあった。
教えてくれれば良かったのに、と莉子はスティックで手遊びする曹を睨む。
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