赤色

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 大学生になって初めて好きな人が出来た。彼と出会ったのは勧誘された入ったスポーツサークルでの新入生歓迎会でだった。大きなサークルで歓迎会も広い場所で行われた。学年が分かりやすいように四年生は青色、三年生は緑色、二年生は黄色、新入生は赤色のブリーチを胸のあたりに付けることになっていた。昼のアクティビティが終わると別会場での飲み会に続いていた。大学生サークルらしいなと流れに身を任せていると、トイレに抜けたのがよくなかったのか別会場へ先導してくれていた大きなグループを見失ってしまった。あたりを探してみたがそれらしき集団は見当たらない。はぐれてある程度の時間がたってしまった。初めての場所で迷子になる、そんな不安で心細くなっていた時に初めてその声音を聞いた。  「もしかして、スポサーの新入生?」  びくびくしていた私はその声の方向に振り返ると安心した。胸に黄色のブリーチ、サークルの先輩だ。私は歓喜で声も出せず、コクコクと頷いて見せた。  「よかった~。さっきトイレに行った子がまだ帰ってきてないな~って心配してたんだよ。探しに来といてよかった。案内するよ。それにしても、そのブリーチ似合ってるね。」  反射的に胸のブリーチを手で隠して首を横に振る。  「そんなに否定しなくてもいいのに。赤がよく似合ってる。」  そのまま彼に連れられて会場へと向かった。会場につくまで彼が話して盛り上げてくれた。着くころにはさっきまでの不安は完全に消えていた。それでも心はドキドキしたまんまで、気がついたら胸についた赤いブリーチをギュっと握りしめていた。私は赤がちょっぴり愛しくなった。
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