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「僕は運命なんてあるのかないのか考えたこともなかったし、考えても無駄だって思ってたんだ。でも、最近好きな人ができてさ。こんなにも好きな人と出会えるっていうんなら運命って信じてみてもいいかなって。ほら、運命の赤い糸ってあるでしょ。好きになった子も赤が似合う子で。その赤色が出会い話すきっかけを与えてくれたのかなって。」
その時、私は彼に好きな人がいるという事実だけで頭がいっぱいだった。赤が好きな理由?運命?赤い糸?そんなことどうでもよかった。私がかろうじて出来たのはこんな言葉を吐くくらいのものだった。
「くさいセリフですね。」
「くさいかな。でも、くさいの嫌いじゃないんだ。」
そう言って彼は月から私に目線をうつして、こう言葉を続けた。
「だから、月が綺麗だねって。」
彼は恥ずかしそうに手を首の後ろに回して、目を泳がせる。
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