死のお告げ

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また奥さんが不思議な夢を見た。 前に見た夢と同じく、義母と向かい合うようにして立っている夢で、義母はやはり 「大丈夫だから。ちゃんと私が連れていくから。安心して良いから。十月になったら、責任持って連れていくから」 と、意味不明な言葉をずっと喋り続けていた。 (十月? 来月に何かあるの?) 目を覚ました奥さんは、このときになって初めて妙な胸騒ぎを覚えたという。 そして翌月。秋も深まり、山々が紅葉(こうよう)に色づきだす十月の終わりに、旦那である男性の容態が急変し、そのまま帰らぬ人となってしまった。 「――きっとお義母さんは、主人がもう長くないことを教えに来てくれていたんでしょうね」 話を語り終えた奥さんは、最後にそう言って複雑そうに目を細めていた。
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