Rescue2 過去は捨てようか

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愛は何とか前田部長から考える時間をもらう事ができた。 でも、たったの一週間だ。 前田部長が帰った後、誰も愛に声をかけない。 地道に頑張っているアナウンサーからしてみれば、今の愛の存在は邪魔者でしかない。 特番のMCは、実力と人気のあるアナウンサーが抜擢されるはずなのに、スキャンダルまみれの愛がただの視聴率稼ぎのためにオファーされている事実は、この部屋で働く人間にとって疎ましさ以外の何ものでもなかった。 結局、この日は帰りの時間まで、愛は誰とも話す事はなかった。 定時になると、そそくさとアナウンサー室を後にした。 針のむしろのような空間に、一分でも一秒でも居たくなかったし、居るための体力も気力も今の愛には残っていなかったから。 でも、愛は、舟との約束だけは忘れていなかった。 時間を潰したくてもどこにも行く場所はなく、愛は待ち合わせの公園にトボトボと向かった。 でも、こんなにも早くに会社を出てきてしまったから、きっと舟君はまだ居ないはず。 愛は公園のベンチで待つつもりでいた。 そのつもりで温かい缶コーヒーを自販機で買った。 「え? 舟君…?」 公園の入口にある門柱に、舟がもたれて立っているのが見える。 え? でも、見間違い…? だって、こんなに早くに舟君がいるはずない… 愛が歩みを進めると、舟の輪郭が大きくなってくる。 涙で霞んで舟が見えない。 こんなに早くに舟君は私を迎えに来てくれた… その思いやりが嬉しくて、愛は堪えても堪えても涙が止まらなかった。
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