Rescue2 過去は捨てようか

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Rescue2 過去は捨てようか

愛がアナウンサー室に帰ると、室長の元へ制作部の部長が来ていた。 室長はバツの悪そうな顔をして、愛をこちらへ呼び寄せる。 「柏木さん、久しぶりだね。 思ってる以上に元気そうで安心した」 愛は作り笑顔すら浮かべる事ができず、軽く会釈をした。 「実は、柏木さんの復帰を盛大に祝ってあげようと思って、特番を用意してるんだ」 制作部の前田部長はかなりのやり手で知られている。 今回新しく局長が変わって局の刷新を図っているこの状況で、自分の手柄を上げる事に躍起になっていると噂で聞いた。 愛が困って何も言えずにいると、室長が横から援護の言葉をかけてくれた。 「愛さんはまだここに帰ってきて10日も経っていないので、まだ、そんな特番のMCは負担が大き過ぎると思います。 何なら、若手の人気が上がってきている女子アナをその枠に入れて頂ければ、アナウンサー室としてもとても有り難いのですが…」 前田部長は面倒くさそうに室長の話を手で払いのける。 そんな話をしに来たんじゃないと、無言で威圧しているように。 愛はさっきの穏やかな時間をもう忘れてしまった。 この異常なストレスは、舟の笑顔を思い出しても太刀打ちできない。 そして、愛の心は絶対に無理と悲鳴を上げていた。 「すみません… もう少し考える時間を下さい。 よろしくお願いします…」
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