赤いスカーフ

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目的のサイトはすぐに見つかった。そこには、恋のおまじないの方法と注意点が書かれている。前に花が見せてくれたものと同じだった。 「・・・萌奈、ごめんね。」 一言口にして、司は画面をスクロールする。 "マヨケ様の赤いスカーフに自分の名前と相手の名前を赤いペンで書く。そして、それをマヨケ様の首に巻いて、好きな相手に渡す。すると二人は必ず結ばれる。ネット上で密かに流れるマヨケ様の噂。ただし、名前の事が相手にバレると結ばれない。恋の(まじな)いにはリスクがつきもの・・・。" 「どういうこと?これだと、萌奈の好きな人って・・・・。」 あり得ない。心の中で呟く。だって、萌奈は・・・友達だ。大切な同じ高校の友達。萌奈の言葉が、頭を過る。 「友達になりたかったわけじゃない!」 あの叫びは、何を意味していたのだろう?司はネットカフェを後にした。じっとしていられない。確認しよう。その方法は一つしかない。午後四時、ここから司の足で病院までは五十分ほどだ。面会時間には間に合う。母親の病室まで急ぐ司は、灰色の雲に気づかなかった。
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