2,渡り廊下で

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2,渡り廊下で

「ずっと、好きだったの...」 梅雨の日の放課後。体育館へ続く渡り廊下で、私はクラスメイトの佐伯さんから、衝撃の告白を受けていた。 「え...」 佐伯さんはどちらかといえば大人しい方で、いつもギャーギャー騒いでいる私とは真逆だった。 好き...?それは、恋愛感情として?それとも、友情として...? この言葉が口からでかかったが、佐伯さんの今にも泣きそうな顔をみれば、それがどちらかなんて聞かなくてもわかった。 私はしばらく黙っていたけど、沈黙に耐えられず口を開いた。 「えっと...、ありがとう?」 私がそう言うと、佐伯さんは弾かれたように顔を上げた。 「嫌じゃ、ないの...?」 「...嫌じゃないよ。いきなりだったから驚いたけど。私、人から好きって言われるの初めてだから、どっちかっていうと、嬉しい...のかな。」 私は自分でも嬉しいのか分からなかった。 でも、佐伯さんの泣きそうな顔を見ると、とても勇気をだして告白してくれたことが伝わってきたから。それに、自分に誰かが好意を持ってくれている。それだけでも、私は嬉しかった。 真っ直ぐに佐伯さんを見ると、佐伯さんは涙を流していた。涙が頬をつたい、地面に落ちた。その姿が私にはとても綺麗に見えた。 「ありがとう...。私の気持ちを、受け止めてくれて...」 それから1週間後、佐伯さんは転校した。 何も知らされていなかった私たちはすごく驚いたけど、転校自体は一ヶ月前から決まっていたらしい。 もしかしたら、あの告白は転校するからしたのかな...。なんて、考えたりもしたけど。 私にとって、あのときのことが特別なこととして記憶に残るのは確かだった。
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