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舞子は無表情にぼやき続ける。
「『舞子ちゃんは俺と一緒にいてもつまらなさそうにしてる』んだってさ。確かに、その時の映画は最高につまらなかったけど、あたしはその子と一緒いるのがつまらなかったわけじゃないよ。でも結局そう言われてフラれちゃった」
「へえ……」
「恋愛って繊細すぎて、なんだか……あたしには難しいよ。ママに言わせると、ただあたしがコドモなだけだっていうんだけど」
淡々と話し続ける舞子の横顔を、私は複雑な思いで見つめていた。
舞子が男の子と付き合ったという事実にショックを受けていた。それから速攻でフラれたと聞いてホッとして、さらに自分のその身勝手な考えに、ジワジワと罪悪感がこみ上げた。
「ねえ」
黒い瞳が、キョロリと私を捉える。――ドキンとした。
「今日は寝ないように頑張るけど、寝ちゃったらすぐに起こしてね」
そう言って、舞子は悪戯めいた笑みを見せた。その笑顔に、罪悪感でいっぱいの胸がギュッと締め付けられるような、そんな心地がした。
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