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啓一郎・3
車で数時間程走り、漸く慎二のいる病院に着いた。
もう日付も変わる時間だった。
慎二は大丈夫なのだろうか。入院なんて、どれ程酷い状態なんだろう……。
気持ちばかりが焦ってしまう。
緊急外来の入口で、沈痛な面持ちで父さんが出迎えてくれた。
「父さん!慎二は…慎二はっ!?」
「落ち着け啓」
「だって、だって……」
「大丈夫だから。まずは慎二君に会いに行こう」
俺を宥めながら父さんは病室へと案内してくれた。
慎二のいる病室は個室で、何故か応接セットも付いているとても広い特別室だった。
部屋の中では久しぶりに会う慎太郎さんと春海さんが迎えてくれた。
二人とも顔が真っ青で、二年前と比べて身体も痩せ細っていた。
奥のベッドはカーテンで仕切られていて、慎二の匂いがじんわりと漏れている。でもその香りはとても微弱で頼りなかった。
「啓ちゃん……来てくれてありがとう」
「啓君、この町は辛いだろうに…済まないね」
涙を浮かべた春海さんに俺は抱き締められ、慎太郎さんに謝罪を受けた。
「……ごめんなさい」
慎二が大変な状況なのに俺の事を心配してくれている二人に申し訳なくて、俺はその一言しか出てこなかった。
「謝らないで。慎二が不甲斐ないだけなのよ……ごめんなさい」
「違うよ春海さん…春海さんこそ謝らないでよ。俺の方がよっぽどダメなんだから…謝るのは俺だよ……」
「違わないわ。啓ちゃんだって辛いのに、ここまで来てくれて……本当にごめんなさい」
春海さんも俺も申し訳ない気持ちが先に立ってしまって抱き合ったままお互いにひたすら謝っていた。
「ほら春海、啓君も困ってるよ」
「あ…そうよね、ごめんなさい啓ちゃん。慎二に会いに来てくれたのに」
春海さんがベッドの方を見る。カーテンで仕切られているので慎二の状態はまだわからない。
カーテンの向こうにいる慎二がどんな状態なのか、気になるけれど怖かった。詳しい話を全く聞いていないので想像がつかなかった。
「慎太郎さん、春海さん。慎二の具合は……」
「先に会ってあげて」
春海さんに背中を押され、小さく深呼吸してからカーテンを開けた。
「……っ!」
思ってもみなかった慎二の姿に衝撃を受けた。声が出なかった。
二年ぶりに見た慎二は、痩せ衰えていて以前の面影が余り無く、真っ青な顔でベッドに横たわっていた。
頭には包帯を巻かれ、腕には点滴が付いていてとても痛々しい。俺を抱きしめてくれた優しくて力強いあの腕も、痩せこけていて今にも折れそうだった。
「慎二……」
それ以上の言葉が出せなかった。想像していた慎二とは全く違う苦しい姿。
何でこんな事に……。
涙が溢れてきて慎二の顔がぼやける。もっとちゃんと見たいのに、見ようとすればする程に慎二の顔が見えなくなった。
あんなに幸せを願っていたのに。慎二だけには幸せになって欲しかったのに。
立ち尽くしていた俺は父さんに支えられ、そのままソファーに連れていかれた。
そこで初めて春海さんと慎太郎さんは、何故慎二がこんな風になってしまったのか簡単に、だけど苦しそうに話してくれた。
俺が逃げた後、慎二は長期に渡りあの男に暴力を振るわれていたらしい。なのにボロボロになっても学校に行こうとする慎二を止められず、動けなくなって寝込んだ時に慎太郎さんと春海さんが学校を辞めさせた。
慎二は頑なに病院には行かないと言い続けて、最近では食事も碌に取らなくなり部屋に引き籠もる様になっていた。
今日、父さんが家に来た事に気付いたらしい慎二は慌ててしまって、階段で頭から落ちてしまった。
病院に運ばれ精密検査を受けて、怪我の他に栄養失調と内蔵を痛めているのが発見されてそのまま入院になったそうだ。
今は検査の為に処方した薬が効いて寝ているとの事だった。
「内蔵を痛めてるって……」
「慎二君は暴力を受けた時に数ヶ所骨折してたらしいんだ。その骨がずれたまま繋がったせいで内蔵を圧迫している」
父さんがそれについて説明をしてくれた。きっと二人と一緒に先生から説明を受けたのだろう。
「それって、大丈夫なの……?」
「明日また検査を受けて最終的な方針は決まるんだけど、多分一部簡単な手術をして骨を元に戻す事になると思うよ」
父さんと慎太郎さんに説明を受けても、今の慎二を見た後では簡単そうには思えなくて。俺は、自分の苦しい胸をぎゅっと押さえた。
「大丈夫よ。慎太郎も彰悟もそういう事に詳しいもの。啓ちゃんが心配する様な事はないわ」
春海さんがきっぱりとそう言い切ってくれたので、少しだけ不安が消えた。
「啓君、今日はこの部屋に泊まってくれるかい?」
慎太郎さんが皆を促して立ち上がった。
「慎太郎さん……俺、ここにいていいの?」
こんな時間にお見舞い客が居てはいけない事位は流石に俺だって知ってる。例え救急だとしても家族じゃない俺はここにいてはいけないのではと心配になった。
「啓、ここは俺達の知り合いの病院だ。個室だしその辺は気にしなくていい」
「啓ちゃん、私達は三人を連れて一度家に帰るわ。啓ちゃんは良かったらそこの簡易ベッドを使って」
春海さんの視線を追うと、慎二の寝ているベッドの横に小さく折り畳んだベッドが置いてあった。普通ならこんなの置いてないんじゃ……。余程いい部屋をあてがわれたのだろうと驚いた。
「啓、あなたも慎二君に会いたかったでしょう?春海ちゃんも慎太郎さんもそうして欲しいって言ってくれてるし、お言葉に甘えていいと思うわ」
「義姉さんの言う通りだ。慎二君だってお前がいたら嬉しいと思うよ」
「うん…ありがとう……」
素直に皆の言葉に甘えようと思い、お礼を口にした。
皆はそれじゃ宜しくと言って部屋を出ていった。
俺は慎二の傍らに腰かけてそっとその手を握った。
「お前…バカだよ……」
何で無駄に頑固なんだよ。何であの男にずっと暴力振るわれてんだよ。何で逃げなかったんだよ。何でそんなにボロボロになってんだよ。何でそんな身体で学校に行ってたんだよ。何で幸せじゃないんだよ。
何で、何で……。
俺には慎二の行動の意味がわからなくて、心の中でひたすら『何で』を繰り返した。
久しぶりに触れた慎二の手はとても冷たかった。
二年前離れてからずっと触れたかった慎二の手。
『また明日な』
そう言って最後に俺を抱き締めて、頬に添えてくれた慎二の手。
その手を自分の頬に当ててみた。あの時よりずっと冷たくて頼りない。随分と細くなってしまったその指に自分の指を絡めてみる。
もう二度と触れる事は出来ないと思っていた慎二の手にそっと口付けた。微かな慎二の香りを感じて、今ここに、目の前に慎二がいる事が不謹慎だけど嬉しかった。
嬉しくて、申し訳なくて自然と涙が出てきてしまう。
逃げてごめん。黙っていてごめん。約束を守れなくてごめん。慎二の辛さを知らなくてごめん。
俺の事怒ってるよね。
俺は結局慎二に何も言ってない。また明日と約束したのにさっさと逃げた俺はとてもズルい。俺はあの時、慎二との幸せだけを抱えて、それ以外を全て捨てて、慎二すら捨てて逃げてしまった。
怒っても、それこそ怒って俺の事を殴ってもいいよ。慎二からなら全て受け入れるから。慎二になら何をされてもいいから。だから……だから早く目を開けて。その目で俺の事を見てくれよ。
色んな想いを込めて慎二にそっと口付けた。
離れてからもずっと好きだった愛しい人の唇は、少しカサついていたけどそこから漂う香りに包まれた様でじんわりと幸せな気持ちになった。
ああ、慎二だ。夢じゃない。触れる距離に慎二がいる。
もう涙が止まらない。慎二への気持ちが涙になって溢れていく。
俺はこんなに涙脆かっただろうか。
俺の涙は止まらずに慎二の顔を濡らしていった。
「……ん」
慎二の顔を俺の涙が濡らし、それに反応したのか目元がぴくりと動いた。
「……慎二?」
何度か瞼をぴくぴくさせて、慎二はうっすらと目を開けた。
ぼんやりと視線をさ迷わせ、俺の事に気が付くと慎二はふにゃりと笑った。
「啓がいる……」
まだ寝惚けているのか囁くような掠れた声を出した。
「……おはよ、慎二」
それでも嬉しそうな慎二の声に、俺の涙は更に溢れてしまってそれだけ言うのがやっとだった。
「啓だ…匂いもちゃんと啓だ……」
慎二は俺が握っていた手をほどき俺の背中に回して、俺を自分の胸に引き寄せた。
「ちゃんと触れる……」
「うん、ちゃんと触れるよ……」
慎二は存在を確かめる様に腕に力を込めた。俺こそ慎二に抱き締められている事が嬉しかった。まるで慎二も同じ気持ちでいる様に思えて、それがとても嬉しくて慎二の腕の中で更に涙が溢れてしまった。
「泣かないで……」
「……うん」
「……逃げないで」
「うん」
「俺が守るから……側にいて……」
「うん、いるよ……慎二の側に」
今慎二の腕の中にいる事が夢の様だ。もう何も考えたくない。このままこうしていられたらいいのに。
「良かった……」
慎二は嬉しそうな声でそう呟いて、俺の頭に唇を寄せた。
もうそれだけで嬉しくて幸せで。
でも、椅子から離れて不安定な体勢がちょっと辛かった。中腰な姿勢が幸せな気持ちにブレーキをかける。
それがキツくて一度離れようと身じろぐと、何故か慎二は腕に力を込めてしまい、余計に動けなくなってしまった。
「慎二、ちょっと腕離して…」
「やだ……啓、いなくなる」
「……いなくならないよ」
黙っていなくなった事が慎二の中で辛い事として残っているのかもしれない。それを思うと胸が痛んだ。
「だって…夢だといつもいなくなる……だからやだ」
寝惚けている慎二はまるで駄々っ子だ。拗ねていじけてしまってる。
もう、可愛い。
「それじゃ……手、繋いどく?この体勢ちょっと辛い」
「うぅ…わかった……」
渋々と俺の身体から腕を外して、むぅっと膨れてしまった。何だか子供の頃に戻ったみたいで可愛らしい。
俺がはい、と手を差し出すと、慎二は指を絡めてぎゅっと握ってきた。
「……ほんとだ……消えない」
「うん、消えないよ」
慎二はまた嬉しそうにさっきよりもふにゃりと笑った。
「今日の夢は凄い……」
「夢?」
「だって啓、消えないし、感触あるし、答えてくれる……」
「いつもはいなくなるの?」
「俺が消えないでって言っても、啓はいっつも泣いて消えてく……」
「……ごめんね」
「いい……ちゃんといてくれたら……いい」
まだ薬が残っているのか、夜だからなのか慎二はとても眠そうだ。俺が消えないように懸命に睡魔と戦っている。
「慎二、眠いでしょ?もう寝な」
「やだ……」
「明日ゆっくり話そう?」
「明日は……やだ」
慎二の声が段々と涙声になっていく。
「明日、啓……いなくなる……やだ」
「……慎二」
「やだ……置いてくな…離れんな……」
「置いてかない。ちゃんといるよ」
「嘘だ……また明日って、あの時みたいに俺が何にも言えないうちに消えちゃうだろ……」
「嘘じゃないから」
「嘘だ……」
「大丈夫だよ。俺は消えない」
「嘘だ……」
慎二は涙をぽろぽろ零しながら俺の手を更に強く握った。俺が黙って消えた事が慎二には本当に辛い事だったのかもしれない。
でもあの時の俺は逃げる事しか考えられなかったんだ。そんなに慎二が辛かったなんて思わなかったんだ。
泣いて訴える慎二の姿に心が締め付けられた。
「慎二、ちょっとごめん」
俺は慎二の身体を少し移動させて、その横に潜り込んだ。
「ほら、抱っこして寝てやるから」
慎二を横から抱き締めてその顔に自分の顔を寄せた。
「これなら離れられないだろ?ちゃんと寝れるな?」
寝かしつける様に布団の上からぽんぽんと軽くゆっくり慎二をたたく。本当に子供の頃の慎二に会ってるみたいだ。頑固で甘えん坊で寂しがり屋な昔の慎二。いつもこうして一緒に寝ていたっけ。
「……啓、もう離れないで……」
「うん……」
俺も嬉しいよ。だって慎二が俺に側にいて欲しいって、離れたくないって言ってくれるなんて思ってなかったんだから。
「ほら、もう寝な?」
「なぁ、啓……」
「ん?」
「キスしていい……?」
ん?
「ほんとはもっと……沢山啓に触りたいし、触って欲しいけど……これ以上贅沢言うと、また、消えちゃいそうだから……キスだけ」
「し、んじ……何、言って……?」
慎二の言葉に驚き過ぎて固まっていると、慎二の唇は返事も待たずに俺に触れていた。
触れるだけ。はじめは確かにそれを啄む様にそっと触れていただけなのに、それは段々と深くなり、次第に俺の舌は慎二の舌に絡め取られていった。
「ん…………ぅんっ……ん…」
強く深く、もっと。俺の口内は慎二でいっぱいになっていく。慎二に溶けていきそう。全て委ねてしまいたくなる。
「はぁ、んっ………あっ…」
「……け、いっ……」
絡まり合う唾液の音と、俺達が漏らす吐息の様な艶かしい声が静かな病室に響いてる。少し切羽詰まった慎二の甘い声にくらくらする。
慎二の舌が俺を侵食していく。俺はヒートでもないのに慎二の舌の動きに翻弄されてビリビリと身体の芯が震えていく。そのビリビリはじわりと熱を持ってあらぬ場所を疼かせる。
「……は、んっ……ちょっ、待っ……てっ」
こんなに細くなった腕のどこにこんな力があるんだろう。
右腕には点滴がついていて動かせない。左腕だけで俺を抱き締めているのに、そこから動けなかった。
腕に力を入れて離れようと慎二を押し返しても何故かびくともしない。逆に更に力を込めて抱き締められ、キスがより深くなった。
「んんっ!……だ、めだっ……てっ……離っ……ぅんんっ」
「やだ……」
慎二の腕の中で慎二に触れて、口内の慎二に溶かされて、このままじゃ慎二に溺れてしまう。
もう何も考えられない。蕩けてしまう……。
離れようともがいていた俺の手は力も入らなくなり、ただ慎二のパジャマを握り締める事しか出来なくなった。俺は慎二が身体を起こして、息も上がって蕩けている俺の上に重なろうとするのをうっとりと見つめていた。
ガシャン!
その音にハッとして、慌てて身体を起こした。
「慎二ストップ!お前病人!ほら点滴!取れちゃうから!」
点滴の管が慎二に引っ張られて、それを掛けていたスタンドがベッドにぶつかっていた。このままじゃ点滴が外れてしまう。
「……いい、そんなの」
「良くない!ちゃんと寝て!」
「やだ。啓に触りたい……」
「駄目!ちゃんと寝ないと触らせない!」
「えぇー……」
「えーじゃない!寝ろ!!」
駄々をこねる慎二の肩を無理矢理ベッドに押さえつけると、慎二はまた膨れてブー垂れてしまった。
「まだ啓が足りないのに……」
薬で眠いはずなのに文句だけはちゃんと言う。俺が足りないと拗ねる慎二が愛おしい。
俺だって慎二が足りない。でも、慎二は入院してるんだからそんな事出来ない。しちゃいけない。兎に角ちゃんと慎二に健康になってもらわなきゃいけない。
「今は駄目。ちゃんと元気になって退院しないと。俺も皆も慎二の事心配してんだからな」
膨れる慎二にビシッと説教した。
手術をする事になると言っていたのに。皆に心配かけてるのに。こんな所でそんな事しちゃいけない。
慎二だけじゃない。嬉しくて流されそうになった俺も駄目だ。
自分にも言い聞かせる様に慎二に伝えた。
「じゃあ…元気になったら、いいんだ?」
「え……?」
「元気になるまで我慢するから……消えないで」
「……消えないよ」
「なら、キスだけで我慢する……」
ん?あれ?ちょっと待て。
「慎二?それ、どういう……」
「啓……さっきみたいに一緒に寝て……」
「うわっ!」
急に慎二に腕を引っ張られ、俺はぽすんと慎二の横に倒されてしまった。
さっきとは少し違って俺は慎二に腕枕をされ、その手は俺の頭に乗せられた。
「啓、お休み……」
俺にまた軽く触れるだけのキスをして、慎二は大人しく瞼を閉じた。
え?
ええ?ちょっと待って慎二。何かさっきのおかしくない?
『元気になったら、いいんだ?』
いいって何?俺、ちゃんと元気になって退院して欲しいって言っただけだよな?キスだけで我慢するってどういう事?慎二は俺とキスがしたいって事?それ以上もしたいって事?何で?どうして?
何が何やら、展開が目まぐるしくて訳がわからない。
慎二は薬のせいかあっという間に夢の中に行ってしまって、さっきの言葉の意味を確認したくても出来なかった。
慎二が目を開けるまではとても苦しくて、辛くて、慎二に申し訳なかったという気持ちが蓄積して燻っていたのに、今は慎二の腕の中で慎二と一緒にベッドにいて……。もう訳がわからず大混乱だ。
俺はまだ何も慎二に話せてないし謝ってもいないのに、慎二はただ離れたくないと言ってくれた。
番の事だって言えてない。
もしも、αの様に俺のΩのフェロモンに捉えられてしまって感情まで引き摺られているならば、俺は慎二を解放してあげなきゃいけない。慎二はβだからそんな事はないとは思う……思うけれど。
でも、父さんが言っていた俺の身体が番持ちの状態になっているという話が楽観的な解釈を許してくれない。
もしかしたら本当に……俺が慎二を縛り付けている可能性もあるのに、その呪いで慎二がそう言っただけかもしれないのに。
確かな物がひとつもない状況なのに、慎二の言葉に歓喜する俺がいる。
出来る事なら俺だってずっと慎二の側にいたい。離れたくないよ。
ちゃんと確認しなきゃいけない事があるのに今はそただの幸せに浸りたかった。
店員さん……まだ今はいいよね。
慎二だって寝てるし何も確認出来ないんだ。明日にはちゃんと話すしちゃんと考えるから……。
でもまだ結果が出ていない今は……久しぶりに慎二を感じる事が出来る今だけは。
「お休み……慎二」
二年振りに感じる慎二の香りに包まれて、その腕の中で幸せな気持ちになりながら俺は瞼を閉じた。
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