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テーブル席で三人で飲んでいた男性客から注文が入る。それに応えながら、出来上がったネルソンズブラッドを男の前に出し、失礼しますと軽く頭を下げ、注文のミネラルウォーターを注いで、テーブル席へと運ぶ。
(今日は結構来たな……)
周りでは色んな会話が行き交っている。最近は雨降らない、梅雨時期が怖いとかこの間どこかで有名人を見たとか他愛のない会話だ。店自体はそんなに大きくないこのBar.let down。客の回転が早い時は早いのだ。ゆっくり過ごす客も居ればさっさと注文して帰るものもいる。多種多様な模様を見つめるのは嫌いではない。
カウンターへ戻ると先程の男はゆっくりとネルソンズブラッドを飲んでいた。流石に一気に煽ることはしなかったらしい。
「なぁ、他にも何か作れるのか?」
唐突な男の質問。
「材料さえ切らしていなかったり、そのレシピを知っていれば」
そう答えると男は次から次へと注文を出した。彼からは何か異様な空気を感じたのは二度目のバノックバーンを注文された時だ。
ブラッディー・メアリー、ブラッディー・マリー、ブラッド・レッド・サングリア、ブラッド・アンド・サンド、ブラッド・ソーダ、ゾンビ、ローズ・ヒップ・ティー……
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