Glass1 雨の日のシンデレラ

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 そんな中、人影が一つ。 「……よし、片付けも掃除も材料もチェックは済んだ」 正面から見れば短髪の綺麗な顔立ちの青年が一人呟く。腰を上げ伸びをする。首を引くとするっと肩にかかっていた細く束ねた髪が重力に従って背へと流れ落ちた。  十七時五十分。 開店準備の最終段階。外のブラックボードにメッセージを書き込み、バッドランプを灯す。 "本日 新規さん歓迎"  十八時。店内に控えめな音量でBGMが流れる。 開店開始は人はそうやって来ない。まず、大々的な宣伝をしたことがない。なのでここへやって来るお客様は大体噂や行きつきなどの偶然からの来店が殆ど。それでもここ長く続いている店であるのは確かだ。  十九時、客が疎らにやって来る。控えめな声がお客様を迎える。 「やぁ、また来たよ。いつもの頼むね」 少々毛が薄くなりつつある男がカウンターの左端から二番目の席に座る。
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