9人が本棚に入れています
本棚に追加
マルガリータはテキーラ45mlとレモンジュース15ml、ホワイトキュラソー7mlをシェイカーに入れて作る。ホワイトキュラソーの代わりにオレンジ風味のリキュールを使ったり、レモンジュースの代わりにライムジュースやその両方を使用することがある。色味は作るバーテンダーに寄るが、明るい光のような色を放つ。白桃色といった具合だろうか。
少々深めのカクテルグラスにそれぞれ注ぐ。マルガリータを注ぐグラスには薄くソルトでグラスの淵を飾る。ピンク・レディーの方にはナイフを入れたカットフルーツの月を飾った。
カウンターから出てカクテルを注文の席へと運ぶ。細く結った黒髪に映える紅い瞳。綺麗な顔立ちの青年に女性客は目を奪われることがしばしば。
また一人、お客様がやって来た。ドアに吊るされたベルが鳴る。
女性だった。微かに濡れているのが分かる。手元に傘はない。急に降って来たのだろう。
カウンターへと戻ると、カウンター裏からタオルを取り出す。
「いらっしゃいませ、よろしければお使いください」
「……」
無言で彼女はタオルを受け取る。
彼女の姿はまるで中世ヨーロッパのお嬢さんのような雰囲気を漂わせていた。服の所為もあるかもしれないが。
最初のコメントを投稿しよう!