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所謂彼女の服装は東京の一部でよく見られるというロリィタファッションのようなものだ。紺色のドレスに姫袖と呼ばれる手の甲を扇状に隠すような形の袖。黒い毛先のくるくるしたセミロングの髪に控えめなラインに持ち上がったまつ毛に大きな青い瞳。人形のようにも思えた。
「当店は初めてですよね? 席はご自由に好きな場所にお座りください。注文は随時承っております。伺いに上がったり呼んで頂いたりと特に規定はございません」
すると彼女はカウンター席の方へ進み、カウンターの一番右端の席に着いた。
ちらほらと注文が入る。
カウンターで注文を受けた物を作っていると視線に気づいた。先程から喋らずカウンター席に座っている彼女だ。
コリンズグラスに氷を重ね入れ、ウォッカ45mlにトマトジュース100mlと絞りレモンを5ml。塩と黒コショウを少々入れ混ぜる。視線は気になったが、注文の品を左の四人掛けのテーブル席へと運ぶ。
「ご注文のブラッディー・メアリーになります。辛いのは苦手という事で、タバスコなどは控えさせていただきました。ゆっくりお過ごしください」
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