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コンコン
「紗綾、ちょっといい?」
ドアをノックする音で、ハッと我に返った。母だった。少しほっとして「いいよ」と言うと、母は静かに部屋に入ってきた。
「今朝お父さんから聞いたわ。あの傘、今日使う日だったのに捨てられちゃったんですって?」
「……」
「なんとか持って帰ってきたみたいだけど、ボロボロだったそうね」
「……ホント、一生お父さんを恨むよ」
「あなた、あの傘に名前つけるほど気に入ってたからねぇ……なんて言ったかしら?確か和のデザインだから……」
「あ……」
そうだ。名前、思い出した。
「……和だ」
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