2人が本棚に入れています
本棚に追加
その条件でもいいと思った。
今はまだ使えなくても、大人になったら私はこの傘をさして歩ける。嫌いな雨もきっと好きになれる。そう考えていたからだ。
……だけど、いざ20歳の誕生日になった今日、早速使おうといつも保管していたところを見たけど、どこにもなくて。
「あ、ごめんなー。この前の大掃除で見つけて今朝捨てちまった」
焦る私を気にしないかのような、父のまさかのカミングアウト。急いでゴミ捨て場へ向かったが、時すでに遅く、もうゴミ収拾車が去った後だった。
家宝のように布で何重にも包んだ状態で保管していたのに。使える日を楽しみにしていたのに。
それでも保管の仕方が悪かったのか、父によればだいぶ黄ばんでいてとても使える状態ではなかったとのこと。
もっとネットで長期保管できる方法を調べておくんだったと、猛烈な後悔が雨のように押し寄せてきた。
最初のコメントを投稿しよう!