私を使って。

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☆ 「それ、傘に恨まれてるんじゃないの?」 カフェでランチの約束をしていた友だちの早苗(さなえ)に、さっき起こった不思議なできごとを話したら、しばらく考え込む仕草をしたあと、真剣な表情でこう言われた。 「う、恨まれてるって……」 「だってその傘、紗綾(さや)が小さい頃に買ってもらったっていうお気に入りの傘なんでしょ?20歳になったら使っていいとかなんとか言われたやつ」 「いや、本当にあれが私の傘かどうかは……」 「それが紗綾のお父さんに捨てられちゃって、恨んでんだよ。1回も使われなかったからね」 人の話を聞いてくれない。 それに、とんだとばっちりだ。恨むなら捨てた父を恨んでほしい。
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