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ランチを終えて早苗と別れてからも、結論は出てこなかった。
未練と言われても、まったくわからない。そもそも傘に意思があるって言うのもファンタジーすぎて信憑性に欠けている。
そうこう考えているうちにも、例の傘はまとわりつくように私の前にまた現れる。土砂降りな雨で水たまりがたくさんできているこんな道端で、無造作に捨てられたその傘に振り向く人はひとりもいない。
私は傘の前にしゃがみ込んで、じっと見つめた。
もしかして、私に伝えたいことがあるんだろうか。でもそれがなにかはわからない。意思があるなら、テレパシーとかで会話できたらいいのに。
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