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暗がりから現れたのは、二度と会わないと思っていた男。
まさか……この学校で“洵也”に再会するなんて、それもこんなに早く。
なんで……だ。
「………久しぶり…先生。」
“先生”と呼ばれることに多少の違和感を感じつつも俺は馬鹿みたいに頭の中で“なんで”を繰り返していた。
「おまえがなんでここにいるんだ。」
「久しぶりに会ったのにそんな言い方しなくてもいいじゃないですか。」
相変わらず軽い物腰で俺に話し掛ける辺りが時の短さを感じる。
そして、あの頃を自然と思い出す。
「久しぶりって。そんな卒業して経ってねーだろ。」
「そりゃそうですけど、毎日会ってたのが会えなくなったんだから久しぶりな感覚になるじゃないですか。」
そんな感覚以前に、おまえは俺を………
「避けてたくせに……よく言うよ。」
恋人同士ではなくなってから卒業までは殆んどと言っていいほど俺たちに会話はなかった。
担任だから多少は話してもいつもあいさつ程度だし、用事もなければ1日に一度も話さないことだってあった…まぁ、それが教師と生徒なら普通なんだが。
それに洵也は、その日を境に出来るだけ俺を避けるようになっていったし。
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