秋芳さんの決意

2/4
3866人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
落ち着いた秋芳さんの声が続く。 「ちゃんと、最後まで聞いとくれやす。誤解して欲しくはあらへんのどす。わては愛柚はんが嫌になったとか、そんな事は全然あらへんのどす。そこだけは間違えんと聞いて欲しいんどす」 「愛柚はんの人生がかかっとるんどす。わては、愛柚はんには自由に自分のやりたい事をやって欲しいんどす」 「それが、例えわてと離れることんなっても…。愛柚はんの一番の応援者になりたいんどす」 「いつでも、愛柚はんの背中を押す存在でありたいんどす」 「わては愛柚はんが好きどす。誰よりも、何よりも大事に思てます」 「せやからこそ、愛柚はんを縛りとうはないんどす」 「愛柚はん…。愛柚はんは、これから先どないしたいと思たはりますか?」 「わては、その愛柚はんを精一杯応援したいんどす」 私は、秋芳さんの真剣な声に、ただ俯くしか出来ない。 そんな私なのに、秋芳さんは私なんかより、ずっとずっと私の未来を考えてくれていた。 恥ずかしさに、自分の浅はかさに、顔を上げられないでいる私の頭を秋芳さんの大きな手がナデナデしてくれる。 「いきなり、こない重たい話しして堪忍な。せやけどわては、愛柚はんの未来、将来の夢を奪いとうないんどす」 「わては、いつでもここにおります。愛柚はんが望むんやったら、いつまででもここで待っとります。せやから…、愛柚はんは、どこまででも自由に飛んで行かはったらええ」
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!