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そのうち、愛柚はんの声が引き攣ってきた。
こん声は知っとる…。
もうちいとしたら愛柚はんがイカはるサインや。
愛柚はんの泣いたはるような、か細い声が気に入っとる。
始めのうちは切なげな吐息やけんど、それがだんだんと音階が上がってって愛柚はんのソプラノが掠れていくのんが堪らん。
もっともっと高お、もっと切のお、もっと深こお、愛柚はんに達して欲しい思う。
愛柚はんが、わてから離れられんようなればええ。
そんな想いを隠そうと必死に愛柚はんを探検する。
わての気持ちが愛柚はんに溶けてしもうたらええ。
わての色に愛柚はんの全部が染まってしもうたらええ。
そないな事は、叶いもせえへん夢の中の戯言やと、誰よりもわて自身が一番分かっとるはずやのに。
それでも愛柚はんの全てが欲しいて、わては自分を止められへん様になってしまうのんや。
愛柚はんの全身が大きく跳ねはった。
それと一緒に愛柚はんの悲鳴みたいなか細い声が、わてん耳を揺さぶらはる。
この瞬間のかいらしいその表情と声は、一瞬でわてん理性を吹っ飛ばしてしまわはる。
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